作詞をする時に意識をしている14の法則【禁止ワード、メモの仕方】

投稿日:2015年7月17日 更新日:

作詞をする時のポイントって何?
歌詞に禁止ワードや、思いついた時の便利なメモの仕方は?
こんな疑問に答えていきます。

2011年からボカロ楽曲でMVを作っている僕が解説します。

1.メロディとリズムを揃える

メロディとリズムを揃えるのが大事だと思います。
でも日本語のとしてのアクセントをあまりに崩しすぎると何を言ってるかわかりません。

具体的には「ゆっくり舞い落ちる」って歌詞を「ゆくりいおちるー」みたいに無理やりメロディーに当てはめてしまうことは避けます。
メロディー的に5文字なら5文字と決まってしまっている部分は、時間をかけて5文字を探します。

(例)
「想像できない(SO、ZO、DEKINAI」
「今日最終列車に(KYO、SAI、SYURESSYA」

こういうワードを3日間かけて考えました。

2.詩だけを読んでも意味が分かる

メロディーなしで、詩だけを読んでも意味が分かるかどうかです。

例としては、やはり槇原敬之先生ですね。
詩を先に作っているだけあって、歌詞が文章になっていてストーリーがあります。

通じてない例としてはPUFFYの「アジアの純真」。
まあこれは故意的にやってますね。

あとは、赤西仁+小林武史の「BANDAGE」
歌詞全体が日本語になってないですね
(別に悪口を言いたいわけではないのです、わかりやすいかと思って)
(本当にすいません、曲はかっこいいと思います)

3.感情を直接的に表す言葉は入れない

これは俳句の達人、松尾芭蕉先生の教えの応用です。

(1)俳句からの教え

まず俳句の話をしますね。
俳句は特に風景を詠むものなので、直接的な表現は避けるのがルールです。

(例)「松島や、ああ松島や、松島や」
これがもし、「松島や、ああ美しい、松島や」だったらどう思いますか?

あまりにもそのままですよね
そのまま説明されてしまうと「ああ綺麗なんですね」としか反応できないですよね
情景が頭に浮かびません

「松島や」とあえて繰り返すことで、繰り返すことしかできないほど圧倒された作者の情景が浮かぶわけです。

(例)「古池や、蛙飛び込む、水の音」
これも同じですね「古池や、蛙飛び込む、涼しげだ」
などと直接的に結論を言ってしまったら、美しくないですね。

水の音が響き渡る情景をただそのままに伝えるのが良いのです。

ちなみに俳句が「情景」なのに対し、短歌は「気持ち」を詠んでいますね。
こちらも同様に意識して使えるでしょう。
次のYUIさんの歌詞で説明します。

(2)YUIさんの歌詞を例に説明

これを歌の歌詞にも応用しましょう。

サビでただ「情景」だけを詠み、感情を表す言葉を一切使わない
これで、よりリアルにその時に思いが風景とともに伝わると思います。

ここでYUIさんの歌詞を例にあげましょう。
YUIのTOKYOについてはスガシカオさんがラジオで解説して絶賛していました。
わりとスガさんの言ってた内容まんまかもしれないです。

「朝のホームで 電話もしてみた でもなんか 違う気がした
古いギターをひとつ持ってきた 写真は全部 置いてきた」

(YUI/TOKYO 作詞:YUI)

どうですか?

これは1番のサビで、いわゆる一番この歌のなかで目立つ部分の歌詞なのです。
「寂しい」とか「悲しい」「不安」とかいった直接的なワードは一切入らずにただ「情景」だけを歌っていますね。
そして「気持ち」も自然と伝わってきます。
(気がしたというワードは入ってますけど)

これをサビに持ってくるところがYUIさんの才能といえると思います。
僕はあえて2番のサビでこの手法をよく使うようにしています。

「悲しい」「嬉しい」「楽しい」こういうキーワードは消すようにしています。
ただし、歌全体のなかでは、BメロやDメロで直接的な「悲しい」「嬉しい」などのワードを入れてバランスを取るのもありかなとは思います。

(あえてわかりやすくしたい曲(子供向けの曲)とかでこれを使うのもまた違うとも思います)

4.なるべく季節(季語)や地名を連想させる言葉を入れる

季節(季語)や地名を連想させる言葉を入れるのは、我らが日本の伝統、「演歌」の教えですね
演歌にはとにかく地名、季節が頻出します。

a.JPOPから季節と地名が消えた?

少し聞き飽きたネタかもしれませんが、JPOPから季節と地名が消えたという話です。

そもそも昔の曲では、「津軽海峡冬景色」などはガッチリ入っていますね。
Aメロではひたすら地名、季節の繰り返しです。
というか題名自体が地名、季節ですね。

ところが、90年代、小室哲哉時代に突入してから、地名、季節は姿を消しましたね。

というか小室さんの歌詞って(もちろん小室さんは大好きなんですけど)適当ですよね。
鈴木亜美の「alone in my room」の適当さとか、当時僕はびっくりしました(曲は大好きですよ)

しかし00年代に入ってから、地名、季節が復活しますね
まず代表は「いきものがかり」でしょう。デビュー曲「さくら」には小田急線が出てきます。
ゆずの「桜木町」、aiko「三国駅」もそうですけどこの辺は露骨すぎる気がします。

ボカロPの歌にも地名が出てきますね。
Neruさんの「かなしみのなみにおぼれる」には小田急線が出てきますね。
スズムさんの「八日目、雨が止む前に。」にも西武線が登場します。

まあ、この話はネットで散々既出の話なので、なんか偉そうに語ってすいません。

b.地名が復活したのは歌詞の世界観が「聞き手」から「作詞者の僕や私」に戻ってきたから

ただここからは僕の考察ですが、地名が復活したのは歌詞の世界観が「聞き手」から「作詞者の僕や私」に戻ってきたからだと思います。

鈴木亜美の「alone in my room」の主人公は間違いなく「聞いているあなた」だと思います。
CDを買ってくれてる人が自由に想像しやすいように作りましたという曲だと思います。
しかし、スズムさんの「八日目、雨が止む前に。」の主人公は間違いなく「作者」です。

歌詞の世界観が「僕」に戻ってきていて、それでもその人の心情をリスナーが共感して、感動する。
主人公は決して、聞き手ではなくてもいい、というのが00年代以降のJPOPではないでしょうか。
特にボカロPは商業からではなく、自分の世界観や伝えたい気持ちから始まって歌詞を書いているのであくまで主人公はボカロP自身なんだと思います。

少し話が逸れましたが、僕は季節、地名を無理のない範囲で入れるようにしてます。
歌詞の主人公はあくまで「僕」だからです。

5.100%自分の経験を元にした歌詞にする

今は僕は「僕」が主人公の歌詞しか書きません、というか書けません。
想像やストーリーを作ったりはしない

曲を提供している方とかは、歌う人の立場になって曲を書いたりするのかもしれません。
アニメ主題歌や映画主題歌もそうですね。

今の僕がそれをやると、薄い嘘っぽいストーリーにしかならないと思うのです
なので100%自分が経験したリアルなストーリーしか歌詞に登場しないようにしていません
ただ、恋愛の歌詞を書いた時がとても恥ずかしいですね(恥)

手法としてもその方が素直で簡単じゃないでしょうか

6.1番のサビは言い切り型にする

1番のサビは長々と続く文章じゃなく、わかりやすい言い切り型にします。

1番の歌詞って、一番目に入る耳に入るところだと思うんです。
なるべく短くて覚えやすい単語にした方がいいと思うんです。
逆に2番のサビは文章にして延々と続けてもいいかなと思ってます。

浜崎あゆみさんの「Far away」を見てみましょう。

(1番サビ)
「新しく私らしくあなたらしく 生まれ変わる」
(ラストのサビ)
「人は皆通過駅とこの恋を呼ぶけれどね 私には始発駅で終着駅でもあった」
(Far away/浜崎あゆみ 作詞:浜崎あゆみ)

どうですか。

1番の歌詞は「新しく…」ととてもわかりやく覚えやすいですね。
ラストのサビはかなり長く続く文章になっています。これこそ役割分担ですね。

1番はわかりやすく、2番は引っ張って感情を高ぶらせる。
こういう使い分けが大事だと思います。

7.2番のサビは1番のサビとわざとパターンを変える

パターンの変え方もいろろあると思うんです。

  • 1番サビはわかりやすい単語の連続(叙情詩)で、2番サビは情景(地名)だけを読んだもの(叙景詩)
  • 1番サビは短文で細かく言い切る、2番サビは全て繋がった長文
  • 1番サビは日本語で、2番サビは英語

などですね

8.歌い出しの文句は綺麗で情景が浮かぶ言葉にする

歌い出しの一言ってとても大事だと思うんです。

特にボカロだと歌い出しで失敗すると、「停止ボタン」押される可能性ありますから注意ですよね
(僕はすぐ停止しちゃいます、すいません...)

だからといって、毎回毎回サビ始まりにするわけにもいかないですよね。
そんなの自分が楽しくなくなっちゃいますから

JPOPの歌い出しで僕が印象的なのを挙げます。

コブクロ/ここにしか咲かない花
「何も無い場所だけれど ここにしか咲かない花がある、心にくくりつけた荷物を静かに降ろせる場所」
今井美樹/PRIDE
「私は今、南のひとつ星を見上げて誓った」
槇原敬之/カイト
「キャップの上からフードかぶりポケットに手を入れ立ちすくむ君の姿はまるで氷山に取り残されたペンギン」

どうですか、見事に情景が浮かぶ始まりになっていますね
これはかなりの常套手段だと思っています。

9.曲の題名は素直に付ける、原則1番のサビの歌い出し

曲の題名は素直な方が良くないですか。

「あ、この曲いいな」とチラッと耳にしたとしてもタイトルが素直に付けられていないとうまく記憶に残りません。
一番多いのは1番のサビの1番始めの文句のパターンだと思います。

多い順に並べますね。

a. 1番のサビの1番始めの文句のパターン

(例)レミオロメン「粉雪」、TUBE「きっとどこかで」、FIELD OF VIEW「DANDAN心惹かれてく」

b. 1番のサビの1番最後の決め文句

(例)大塚愛「さくらんぼ」、B’z「ultra soul」

c. AメロやBメロで出てくるパターン(特に歌い出しが多い)

(例)コブクロ「ここにしか咲かない花」、ポルノグラフティ「サウダージ」「メリッサ」、TOKIO「宙船」

d.キーワードを総合してタイトルとするパターン

(例)秦基博「ひまわりの約束」、スキマスイッチ「ボクノート」

e. Dメロで印象的に出てくるパターン

(例)BUMP OF CHIKEN「カルマ」

f. その他

その他の場合は少ないと思います、ってかこれ以外の付け方だとわかりにくくないですか

10.詞が湧いてきた瞬間を逃さない

詞が湧いてくる瞬間を逃さないことですね。
湧いてきた時に1番と2番のサビまでは頑張って出し切る。

いつも作ってて思うことですが、思いついて瞬間にある程度形にしないと…忘れます!

なので「わあ…」と思いついた時に、1番のサビ、2番のサビ、1番のAメロ、Bメロは最低限なるべく作るようにしています。
2番のAメロは逆に、あとで落ち着いて見直してから作った方がバランス的にいい気がするんです。

理由を問われると困るんですけど、やっぱり脳が興奮している状態は長くは続かないようです。
言葉が体から溢れてくるうちに、無理やりにでも出し切った方がいいです。
文字数や語呂とかはとりあえず関係ないです、とりあえず書きます。

文字数はあとで訂正します。
とにかく「これが言いたいんだ!!」ってことを書き連ねます。
といっても、無理なことも多いんですけどねw

11.詞の内容は変えずに、言葉尻だけメロディーに合わせる

僕の曲の作り方は、いい感じの歌詞といい感じのメロディーの上手い組み合わせを考えて、うまく合致しそうなものを合体させます。
なので、完璧に歌詞の文字数が合うことは少ないです。
その場合は意味を同じまま語尾を変化させたり、あるいは小節数を増やします。
作曲のページで書きましたが、コード進行にはどの間にも入れる魔法のコード(augオーギュメントコード)がありました。
これでコード進行を延長していけば、多少文字数が長すぎてもどうにかなりますね
(って偉そうに書いてますが、筆者も100%理解しているわけではありません汗)

12.飛行機の中などの移動中に詞が湧いてくることが多い

私はしばらく海外で生活しているため、飛行機に乗る機会がたまにあります。

人間は長い距離を移動している時に発想が湧きやすいと聞いたことがあります、不思議ですね
加えて飛行機の中は現状「携帯使用禁止、インターネット使用不可、映画はつまらない、本は飽きる」という環境ですね。
まあ飽きるのは僕だけかもしれませんが。
こんな環境、現代社会ではなかなかありえないんですよ

人間やることがなくなると、自分の感情の内側へ神経が傾くと思います。
飛行機から地上を見下ろしていると、なんとなく込み上げてくる思いがあるんです。
僕の歌詞は飛行機の上でできたものが多いです。

13.Evernoteというアプリで書きためる

Evernoteというアプリで書きためるのは便利技ですね。

Evernote
https://evernote.com/intl/jp/

有名なEvernoteというアプリ、これは歌詞を書くのに最適です。
iphoneで使う場合は、Fasteverというアプリも入れるのをかなりオススメです。

Evernoteというのは簡単にいうと、メモ帳です。単なるメモ帳です。
ただ、デザインが綺麗で、検索や、ジャンルわけがしやすく美しく見返せるメモ帳なんです。

Fasteverも併用

Evernoteの起動時間はちょっと遅いです0.5秒くらい?
0.5秒の間に、思いついてた歌詞を忘れたら大変ですよね?
なので僕はFasteverも使ってます。

FasteverはEvernoteに書き込む「だけ」の専用のアプリです。
余計な機能は一切付いていないので起動時間が0.2秒くらい、Evernoteより0.3秒くらい早いのです(笑)
0.3秒大事ですよねw
» 参考:FastEver 3

専用のノートを作成する

僕は歌詞ノート(フォルダのようなもの)を作ってそこに歌詞を何個も書きためてます。

消える心配がないです。
字が綺麗汚いも関係ないので見返しやすいです。
オフラインでも見返せます
便利ですね、使ってみてください

14.言いたいことが言えないから、詞を書く

僕は、日常的に細かいことが気になる、言いたいことが言えないから、詞を書くんだと思います。

これこそが「どうやったら歌詞が思いつくの?」に対しての究極の答えだと思います。

小学校の頃、公文式の教材にこう書いてありました。

「多くの人が見過ごしてしまう日常の些細の出来事の中に意味を見出しそれを拾い表現するのが詩人だ」

いまでも鮮明に覚えています
自慢じゃないですが僕は詩人だと思います
DNA的にそうだと思います
(というか世の中のすべての人が詩人だと僕は思います。)

日常の些細なことすべてが気になる体質なんです
これって別にいいことばかりではないんですよ
すべてが気になります
イライラするし、イライラするし、イライラすることが多いです

というか世の中のすべての人が、自分にとって大切なことは気になると思うんです。
そういう意味ですべての人間が詩人だと僕は思います。

でもそういう体質だからこそ、それを活かしてこれからも僕は詩を書いていきたいなと思います。

今まで思い詰めたことが多いです。
別に人と比べたいわけではないですが、ずっと悩んで生きてきた気がします。
(そもそも悩みの量は比べられないですよね)

それは損することばかりじゃないと思いたいんです。
いろいろ考えたからこそ、伝えられることがあると思います。

どうして自分は他人と違うんだろう、
どうして自分はこういう風に感じるんだろう、
自分の感性や生まれた意味を考えて生きてること、
決して無駄じゃないと思うんです。
そう信じたいんです。

いつか多くの人に共感される歌詞を書けたらいいなと思います。

Eye catch image by startupstockphotos

というわけで今回は以上です。
文法上のテクニックから、心構えのテクニックまでたくさんありました。

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